障害年金には国民年金の障害基礎年金、厚生年金の障害厚生年金、共済組合の障害共済年金の3種類があります。これらは、その障害の原因となった病気やケガについての初診日※にどの年金制度に加入していたかにより、申請できる障害年金の種類が異なります。なお、年金制度に未加入であった20歳前の傷病により障害の状態になった場合や、国民年金に加入したことのある人で、60歳〜65歳未満の間に初診日のある傷病により障害の状態になった場合は、障害基礎年金の対象になります。
※初診日とは、初めて医師または歯科医師の診察を受けた日のことを指します。
☆障害基礎年金(令和6年度の金額)
- 1級
- 障害基礎年金(1,020,000円、但し昭和31年4月1日以前に生まれた方は1,017,125円)+子の加算額
- 2級
- 障害基礎年金(816,000円、但し昭和31年4月1日以前に生まれた方は813,700円)+子の加算額
<子の加算額>
- 1人目・2人目の子
- (1人につき)234,800円
- 3人目以降の子
- (1人につき)78,300円
※子とは次の者をいいます。
18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、
または20歳未満で障害等級1級または2級の障害状態にある子
☆障害厚生年金(令和6年度の金額)
- 1級
- 報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加算額+障害基礎年金1級の年金額
- 2級
- 報酬比例の年金額+配偶者の加算額+障害基礎年金2級の年金額
- 3級
- 報酬比例の年金額(最低補償額 612,000円、但し昭和31年4月1日以前に生まれた方は610,300円)
- 障害手当金(一時金)
- 報酬比例の年金額×2年分(最低補償額 1,224,000円、但し昭和31年4月1日以前に生まれた方は1,220,600円)
※配偶者の加算額 234,800円
1級 | 他人の介助なしには日常生活ができない程度の病状 植物状態、両下肢機能全廃、全盲、座位保持不能、高度の認知症 など |
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2級 | 日常生活に著しい制限が必要な程度の病状 人工透析、片腕切断、脳梗塞による半身麻痺、言語機能喪失、重度のうつ病 など |
3級 | 労働に著しい制限が必要な程度の病状 心臓ペースメーカー、人工弁、人工股関節、人工肛門、除痛困難な痛み など |
※上記は、ほんの一例であり、障害等級は障害認定基準に基づき認定されます。
障害年金を受給するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
(1)初診日要件
国民年金、厚生年金、共済年金の被保険者期間中に、障害の原因となった病気やケガに対して医師または歯科医師の診察を受けることが必要です。この診察を初めて受けた日のことを「初診日」といいます。なお、年金制度に未加入であった20歳前の傷病により障害の状態になった場合や、国民年金に加入したことのある人で、60歳から65歳未満の間に初診日のある傷病により障害の状態になった場合は、障害基礎年金の対象になります。
(2)保険料納付要件
初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち3分の2以上の期間が以下のいずれかを満たしていことが必要です。
- ・保険料を納めた期間(第3号被保険者期間を含む)
- ・保険料を免除された期間
- ・学生納付特例または若年者納付猶予の対象期間
要するに、これまでの被保険者期間のうち3分の1を超える期間で保険料の未納がないことが問われているということです。ただし、平成28年4月1日前に初診日のある障害についての特例があります。なお、被保険者でない20歳前の傷病により障害の状態になった方については、保険料納付要件は問われません。
(3)障害認定日要件
障害認定日において、一定の障害があることが必要です。障害認定日とは、本来の障害の認定を行うべき日のことをいい、初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日、または、1年6ヶ月以内に傷病が治った日(症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)をいいます。ただし、特例もあり、その場合は上記の内容に関わりなく請求手続きができます。また、障害認定日において一定の障害の状態に該当しなかった場合であっても、65歳に達する日の前日までの間に該当するに至った場合は、事後重症による請求が可能となります。
初診日とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師(以下「医師等」という)の診療を受けた日をいい、具体的には以下のように取り扱われています。
- @初めて診療を受けた日(治療行為または療養に関する指示があった日)
- A同一傷病で転医があった場合、一番初めに医師等の診療を受けた日
- B過去の傷病が治癒し、再発した場合は、再発し医師等の診療を受けた日
- C健康診断により異常が発見され、療養に関する指示を受けた場合は、健康診断日
- D誤診の場合であっても正確な傷病名が確定した日ではなく、誤診をした医師等の診療を受けた日
- Eじん肺(じん肺結核を含む)については、確定診断された日
- F障害の原因となった傷病の前に相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日
カルテが残っておらず初診日がわからない場合には、身体障害者手帳、身体障害者手帳交付時の診断書の写し、交通事故証明書、労災事故証明書、健康診断の記録、診療受付簿、入院記録、診察券、投薬袋などが参考になる場合があります。
障害年金の請求に必要な主な書類は以下の4つです。
- ・診断書
- ・病歴・就労状況等申立書
- ・受診状況等証明書
- ・障害年金裁定請求書
(1)診断書
障害年金の診断書は年金事務所等の窓口でもらい、診療を受けた医療機関に記載を依頼します。また、診断書の様式は傷病名ごとではなく、障害の種類によって8種類に分けられます。基本的には一つの傷病についていずれか一つの診断書を使用することになりますが、一つの傷病で二つ以上の障害がある場合は、それぞれの障害に応じた診断書が必要になります。
(2)病歴・就労状況等申立書
病歴・就労状況等申立書は、請求者が発病から初診日までの経過、現在までの受診状況および就労状況等について記載する書類です。この書類は審査において病状の経過や日常生活の状況を把握するための重要な資料となりますので、確実な記載が必要です。
(3)受診状況等証明書
受診状況等証明書は、診断書作成医療機関と初診時の医療機関が異なっている場合に、初診時の医療機関で取得していただく証明書す。請求者が、初診日から継続して同一の医療機関で受診されている場合は、提出された診断書によって初診日における医師の証明が確認できますので、必要ありません。
(4)障害年金裁定請求書
障害年金裁定請求書は、請求者の氏名や住所、配偶者や子などのデータ、その他請求にあたっての基本事項を記入する書類で、障害年金の請求は、この裁定請求書に診断書などの必要書類を添付して行うことになります。
@障害認定日請求(初診日から1年6ヶ月の時に請求する場合)
障害認定日(初診日から1年6ヶ月時点)以後3ヶ月の病状を記載した診断書1枚
A障害認定日請求(障害認定日から1年以上経過して請求する場合)
障害認定日以後3ヶ月以内 および 請求日以前3ヶ月以内の病状を記載した診断書各1枚
B事後重症請求(障害認定日の病状は軽かったが、現在、障害等級に該当する場合)
請求日以前3ヶ月以内の病状を記載した診断書1枚
※その他、初めて2級の請求(基準障害による請求)、20歳前障害による請求などがあります。
障害年金の請求では、初診日に年金制度に加入していたのか、またどの年金制度に加入中であったか、を注意しなければなりません。初診日が国民年金加入中にあった場合は、障害等級が1級または2級に該当しないと受給できません。それに対して厚生年金加入中であった場合は、1級、2級の他に、3級や障害手当金に該当することもあります。国民年金加入中よりも受給できる可能性がが広がります。また、請求については、認定日請求では、年金はさかのぼって受給できるため、年金額が多くなります。それに対して、事後重症で請求した場合は、請求したときが認定日となり、そこから将来に向かってのみ受給できます。さかのぼっての受給はできなくなるため、注意が必要です。
障害年金の請求に対して行われる決定内容に不満がある場合は、不服申立てができます。不服申し立ては2審制になっていて、1回目の不服申立ては地方厚生局の社会保険審査官に対して審査請求を行うことができます。その社会保険審査官の決定に不服がある場合は、2回目の不服申立てとして社会保険審査会に再審査請求ができます。なお、社会保険審査会の裁決例の一部は下記URLでご覧になれます。
※障害年金の権利は、諦めずに勝ち取ることが大切です。
年金事務所に行ったが、請求書類がもらえないとか、書類をそろえて提出しようとしたが、受け付けてもらえないということがよくあります。診断書を書いてもらおうとしたら、医師の協力が得られないとか、診断書は書いてもらったが、どうも納得のいく内容になっていないということもあります。社会保険労務士に請求を依頼することによって、これらの問題の多くが解決されます。
メリットその1 | 障害年金の制度を熟知しているため、「通りやすい」書類の整備が迅速かつ正確に行われます。 |
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メリットその2 | 役所や病院には代理人である社会保険労務士が行くことができるため、 ご本人様やご家族様の 時間的・精神的負担を軽減できます。 |
メリットその3 | 審査結果に不服がある場合の不服申立ても、社会保険労務士が代理で手続きを行うことができ、 当初の請求から不服申立てまで一連の手続きを任せることができます。 |